CMOSens®技術による液体流量測定

これまで30年以上にわたり、マスフロー測定の業界標準となってきた方式はスチール管流路の周囲にコイルを巻いた熱式マスフロー測定方式でした。
CMOSens®技術は、この基本的な熱式測定の原理を基に高速、小型化されたセンサー素子と信号処理回路を1つのCMOSチップ上に集積したものです。マイクロチップ上にあるヒーター素子は、測定対象の媒体に最小量の熱を加えます。そして、熱源となるヒーターの前後に配置された温度センサーがわずかな温度差を検知し、周辺の熱分布の変化を流量に換算します。微弱なアナログセンサー信号を高精度に増幅、デジタル化し、さらに加工することができるのは、これらをシングルチップに集積しているおかげです。半導体技術を用いることにより、小型化、バッテリー駆動が可能となります。
デジタル信号処理は、内蔵されている校正データと共に測定値の0.6%以下の測定再現性を実現し、最大1KHzのサンプリングレートの速さで線形出力、校正、温度補償された流量測定信号を出力します。
CMOSens®技術は、液体の極小流量測定も可能です。この新たな原理で開発されたセンサーは、高速度測定、小型軽量化、かつ大量生産が可能です。流量測定は数ml/min、さらにはnlレベルまでの極小範囲の正確な測定が問題なく行えます。
シンプルな直線流路
多様なアプリケーション、測定条件に対応するために、液体媒体は周囲から分離され、センサーは耐圧性を確保しなければなりません。これを実現するために、当社は自社特許である独創的な構造を考え出しました。その構造とは、高感度マイクロセンサーチップがガラス、セラミックやプラスチックから成る流路壁によって媒体から絶縁されている構造です。チップは、優れた精度でnl、μl、ml/minレベルで流路内を流れる媒体の流量を測定できます。媒体の流路はシールやデッドボリュームのないシンプル構造のストレート配管です。チューブの内径は流量範囲に合わせて数mm又はμmと変わります。この新たな技術によって開発された液体フローメーターは従来の製品と比較して10倍小さく、25倍軽量で、100倍も測定が高速になります。これにより最適化の可能性はとどまらず、今後液体フローメーターがバッテリー駆動に変わっていく可能性もあります。
関連製品
当社液体フローメーターは医療機器、高速液体クロマトグラフィー、バイオ技術や研究所向けに開発されたnl/minレベルの微小流量まで高精度に測定可能な製品です。